もうすぐ
今年のペルセウス座流星群の極大。8月12日から13日にかけての夜間が極大。ピークは12日午前5時50分頃。
というわけで、昔書いた、以下の原稿をアップロード。
一年に何度か、にわか天文ブームがまきおこる。流星群がやってきたときだ。
観測場所を選び、なおかつ運が良ければ、天の一点から降っては消えていく天文ショーを見ることができる。では、この流星群とはなんだろうか?
その前に、しばしば混同されることの多い「流星」と「彗星」の違いを説明しよう。
願いを唱えればかなうと伝えられる「流れ星」こと流星は、「星」とついているが星ではない。宇宙に浮かぶ微小な塵が、地球大気に飛び込んできたときに空気との摩擦で燃え上がり、一瞬光り輝く現象である。
ただし「燃え上がる」といっても単純に「燃えている」わけではない。もうちょっと細かく言うと、大気中の原子と飛び込んできた物質を構成する原子同士が衝突し、前面の大気ともども電子が励起されてプラズマという状態になり発光する。速度は地球に飛び込んでくるときの状態によって異なるが、遅いもので秒速10キロメートル、速いものでは秒速70キロメートルくらいである。
少しややこしかったかもしれないが、おおざっぱに言えば、だいたい1ミリくらいの大きさで大気圏外由来の塵が上空100キロくらいで燃える現象である。大気現象の一つと考えてもいい。
いっぽう彗星は、地球や火星など惑星の、いわば親戚である。
太陽の周囲をまわる惑星系は、ガスの円盤から誕生したと考えられている。単純に言えばガス円盤がぐるぐる回っているうちにお互いの重力によってだんだん集まってきて、やがて形成されたのが惑星だ。太陽に近いところでは水のような軽い成分は吹き飛ばされてしまうが、外側では残る。実際、木星以遠の巨大な惑星の衛星の多くは、大量の氷を構成成分として含んでいる。そして彗星は太陽系外周部の<オールトの雲>と呼ばれるところに「巣」があって、そこからときどき太陽に向かって落下を始めると考えられている。そして多くのものは非常に長い周期で太陽のまわりを回る。76年で太陽のまわりを回っているハレー彗星は短い部類に入る。
彗星が太陽に近づいてくると、太陽の光によって彗星の表面物質が蒸発し、吹き飛ばされる。それが良く知られている彗星の尾──プラズマと塵から構成されている──である。その塵は彗星の軌道上に分散し、残っていく。彗星の軌道の中には地球の軌道と交差しているものもある。
では彗星が残していった塵のなかに地球が突っ込むとどうなるか。塵が大気に突っ込み、発光して燃えつきていく。
これが流星群なのである。ちなみに流星群の軌道が彗星の軌道に似ていることを指摘したのは
イタリアのスキャパレリ(1835―1910)という人物だった。1866年のことである。話は脱線するが、スキャパレリは火星の「運河」事件で有名な人物でもある。
さて、流星群がこちらに降ってくるように見えるのはなぜだろうか。
雨のなかを走る車を思い出してもらいたい。フロントガラスにぶつかってくる雨は、まるでこちらに突っ込んでくるように見える。だが実際に突っ込んでいるのは車のほうだ。
流星群も同じこと。つまり流星群とは、宇宙に漂う塵のなかを地球が疾走する様を見ている現象なのである。
天を仰いで地の動きを知る。それが天文を観測するということなのだ。
(初出:『NHKスペシャル 宇宙 未知への大紀行〈1〉天に満ちる生命』)