2004年08月10日

『地磁気逆転X年』(綱川秀夫/岩波ジュニア新書)

地磁気逆転X年
綱川 秀夫

発売日 2002/05
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赤道でオーロラが !?

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 78万年前に人類の祖先が出会ったはずの全地球的イベントをプロローグに据え、高校生の研究室訪問という形で地磁気研究を紹介する。

 地球には南北軸の地磁気があるが、地磁気は常にふらつき、時に大きく傾き、反転してきた。そもそも地磁気が存在するのは、地球の中心にある外核が溶けた鉄でできており、大小の渦をつくりながら流れているからだ。それにより100兆アンペアの巨大電流が発電されている。その流れが揺らぐことで、地磁気が変動しているのである。

 地磁気変動メカニズム解説も面白いが、本書の特徴は、地磁気逆転説をめぐる研究者同士の攻防や、最新の考え方が丁寧に解説されている点にある。岩石中の微粒子から惑星の歴史に迫る地磁気研究の魅力を堪能できる一冊だ。
(初出:メタローグ「recoreco」)
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2004年07月26日

『かわらの小石の図鑑 日本列島の生い立ちを考える』(千葉とき子・斎藤靖二/東海大学出版会)

かわらの小石の図鑑―日本列島の生い立ちを考える
千葉 とき子 , 斎藤 靖二

発売日 1996/08
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いいなあ、これ

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(初出:ぎょうせい『悠』)

 地質学の基本は地質調査である。

 かわらに転がっている普通の小石を、豊富な図版で解説する『かわらの小石の図鑑』を手に取ったとき、大学での卒業論文時のフィールドワークのときの出来事を思い出した。

 私の卒論のフィールドは岡山県の山の中で、カキや二枚貝の貝殻のかけらが集まってできた石灰岩の分布状況を調べること、そして地質図を作ることが、取りあえずの課題だった。

 まず、自分のフィールドにどんな種類の岩石が分布するのかを把握しなければならない。

 指導教官と一緒に山を歩きはじめて一日目が終わろうとしたころ。教官はスッとかがんで、1センチほどのごく小さな小石を何個か拾って私に突きだした。

「これがこのフィールドに分布する岩石だから、まずこれを肉眼で区別できるようにしなさい」

 私はその瞬間まで、自分の周囲にフィールドにある石がほとんど全て転がっていることに気がつかなかった。実際にはその場所は、ちょうど石が溜まる場所であったのだ。そういったことが、まる一日、同じようにフィールドを歩き、ノートをつけていたものの、私にはまるで見えていなかったのである。

 地質図は見るべき目を持っていなければ二次元に広がった岩石分布図にしか見えない。だが実際には地下を含めた三次元構造はもちろん、時間的変動の過程をも織り込んだ4次元的な図なのだ。

 現在の地形には地質学的な変動の歴史と、そこからの連続性がある。地質学を学ぶと、現在の地形から数千万年の歴史を推測できるようになる。

 なぜその山はそこにあり、谷がそこにあるのかといったことを、あたかもタイムマシンに乗ったかのように、現在の地形を変形させて見ることができるのだ。

 そこに、ある石が「ある」というただその事実でさえも大きな意味を持つ。かわらの石は、上流から転がり流れてやってくる。では上流の石はどうしてそこにあるのだろうか。その石の由来はどこにあるのだろう。そうやって思考を繋げていくことで、ただの「かわらの石ころ」から、日本の地史、ひいては地球の歴史を読みとることさえ可能なのだ。

 あいにく、私が地質学の持つ本当のパワーを理解したのは、卒業論文も終わりに近づいた頃であった。もうすこし早く「かわらの小石」から色んな情報を読みとるだけの感性と知識、そして何より、奥深い想像力と眼があれば、選ぶ道は違ったかもしれないなあと思うのである。
posted by 森山和道 at 03:23| Comment(0) | TrackBack(1) | 地球科学・地質学 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする